夏の思い出2

そうそう。

僕とSは、夏の残滓を掴むようにして、相席居酒屋へと続く階段を駆け下りたんだ。

 

目の前には、丸いガラス窓のついた真っ白い扉があった。その扉には、20歳以下御断りの張り紙が貼ってあった。その丸いガラスを通して、カラオケ店の受付カウンターのようなものが見える。

 

正直なところ僕はこの扉を前にしてビビってしまい、ドアノブに手をかけているSを必死で止めた。しかし、何事も作戦が大事、無鉄砲に突っ込んで行くもんじゃないと、いくらSに言い聞かせても無駄だった。

 

ただでさえ人間レベルに達しているとは言い難いSの知能は、相席した相手とのピンク色の妄想に耽ることで、トンボレベルにまで低下している。

 

Sの妄想は、僕のなんかよりも数倍頑丈で、店を前にしてもひるむことはなかった。

僕は、説得することを放棄して、Sに付き従うことにした。

店に入ると、イケメンの店員が明らかに軽蔑したような目で僕とSを見てくる。

料金に関する説明を受るSと僕。相席している時間は、15分で500円だったと思う。あとドリンクはアルコールも含めて飲み放題だった。

 

Sと僕はコチコチになりながら席に通されるのを待った。

5分くらいして、店員が席の用意ができたと告げに来た。

 

「席の用意ができましたので、こちらにどうぞ」

 

僕たちは店員について行く。

 

「こちらです」

 

店員が案内した席を見て、僕はちびった。

そこには、S級素人シリーズに出れば、年間ランキング1位を取れるんじゃないかというレベルの美人二人。

一人はお姉さん系でもう一人は可愛い系。

うーんマンダム!

続く。

 

 

夏の思い出1

ポツポツと秋の気配が漂ってくる日が増えた。

 

二階のリビングからは、公園で子供たちが上げる花火が見える。

夏らしいことを一切していないことに気がつき胸がキュとなる。

まだ間にあう。

立ち去ろうとする夏にしがみつくように、僕は友達にラインを送る。

「相席居酒屋行こう」

なぜか早くも生き遅れているS君は、いつでも駆けつけてくれる。参考書でパンパンになった麻のバッグを持っているので(なんかよくわからん資格の勉強をいつもしているのですS 君は)復員兵か昭和の郵便屋さんに見えないS君は、自転車で颯爽と現れる。

非モテの権化。夜の街を嗅ぎまわる狂犬S。

僕は、そんなS君とピンク色の妄想で頭(と股間)をパンパンにさせながら相席居酒屋に駆け込んだ。

続く…